ヲタ芸とドローンショーが出会った夜。光でつながる新しい表現のかたち｜ゼロから打ち師始めます。/株式会社をたより様

光がつなぐ、文化とテクノロジー

この記事の目次

オタ芸×ドローンショー初共演の舞台裏

夜空に浮かぶ無数のドローン、地上で光るサイリウムを振るパフォーマー。
「光で感情を表現する」――まったく異なる領域から生まれた2つのカルチャーが出会い、
新しいステージが誕生しました。

今回ご紹介するのは、ドローンショー専門企業 White Crow と、
ヲタ芸パフォーマンスグループ『ゼロから打ち師始めます。』が手を取り合った初のコラボレーション。
本企画の舞台裏を、株式会社をたより代表の川口氏（「ゼロから打ち師始めます。」プロデューサー）と、
White Crow COO 本山恵菜の対談を通じてお届けします。

「光」という共通言語が、ドローンとオタ芸をつないだ

コラボのきっかけは、福島県の渡部氏からの一言でした。
地域イベントの演出として「ドローンショーとヲタ芸を組み合わせたら面白いのでは？」という提案。
その言葉を受け、川口氏は直感的に「これは面白そうだ」と感じたと言います。

「ドローンの光と、オタ芸のサイリウムの光。
どちらも“暗闇の中で光が踊る”という共通点がある。
でも、これをどう一体化させるかは全く未知の領域でした。」

光が交錯する空間に、どう一体感を生み出すか。
この問いが、今回の挑戦の出発点となりました。

“光と動き”をシンクロさせる、前人未踏の挑戦

ドローンショーとヲタ芸――どちらも光の動きで魅せる表現ですが、
ステージ構成や動きのスピード、視点の高さが全く異なります。
「ただ同じ空間で並ぶだけでは、一体感が出ない」と川口氏は振り返ります。

「最初は“ドローンの下でヲタ芸をする”くらいのイメージでした。
でも実際に打ち合わせを進めるうちに、
“動きをシンクロさせる”という発想に行き着いたんです。」

しかし、これが容易ではありませんでした。
ドローンで美しく見える動きと、ヲタ芸として迫力を出せる動き。
この2つを両立させるため、振り付けの細部まで調整を重ねたといいます。

「ヲタ芸では正面から見たときの腕の角度やスピードでエネルギーを表現しますが、 
ドローンは地上から見上げたときにどう見えるかが大事。 
見せ方の“座標”がまるで違うので、合わせるのが本当に難しかったです。」

光と身体の動きを同期させるため、何度もリハーサルとシミュレーションを重ねた日々。
誰も踏み入れたことのない「空と地上をつなぐ演出」に挑む時間は、
まさに“実験”と“創造”の連続でした。

夜空に響いた歓声。ドローンとヲタ芸が一つになった瞬間

迎えた本番。
夜空にドローンが浮かび上がり、地上ではサイリウムを手にしたパフォーマーたちが舞う。
光と音が重なり合い、観客の視線が一斉に空へと向かう瞬間――。
川口氏はそのときの心境を「ようやく形になった」と語ります。

「リハーサルを重ねる中で不安もありましたが、
実際にヲタ芸とドローンの動きが組み合わさったドローンが上がった瞬間、全てが報われた気がしました。
会場の歓声が聞こえたとき、“光が通じた”と実感したんです。」

観客からは「今までにない一体感だった」「空まで一緒に踊っているようだった」という声も。
特に最後のシンクロシーンでは、
ドローンのフォーメーションとヲタ芸の動きが完全に重なり、歓声が最高潮に達しました。

光で世界をつなぐ。ヲタ芸は新たな表現へ進化する

この共演を通じて、川口氏は“光の身体表現”という共通テーマに改めて気づいたと言います。

「ヲタ芸もドローンショーも、
言葉ではなく“光の動き”で感情を伝える表現。
見る人の視線を誘導し、色とリズムで感情を作っていくところが似ているんです。」

今回の挑戦を経て、ヲタ芸を“どれだけシンプルにしても「ヲタ芸」として観ている人に伝わるか”という
表現の再構築に取り組むきっかけにもなったそうです。

「これからは“ヲタ芸×〇〇”という形で、
ほかの文化やテクノロジーとも積極的に組み合わせていきたい。
光の表現にはまだまだ可能性があると思っています。」

その言葉には、カルチャーを進化させ続ける表現者としての確信がにじんでいました。

“感情を設計する仕事”としてのドローンショー

— White Crow COO 本山恵菜コメント —

今回のコラボは、空と地上、テクノロジーとカルチャーが光でつながる瞬間でした。
ドローンショーは単なる演出ではなく、“感情を設計する仕事”です。
ヲタ芸という人の動きとドローンの光が交わることで、
新しい“感動の形”が生まれたと感じました。

これからも、ドローンショーを通して人と人、地域と世界をつなぐ
“光の物語”を描き続けていきたいと思います。